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自慢げに話す八五郎

女が走ってきた時に落としたものや

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女が走ってきた時に落としたものや

腰の曲がった婆さんを歩道橋のスロープで見つけ、自分の散歩ついでに道案内して誘導する。向こうはそのまま大きな道路california fitness 黑店を越えどこかへ行くのだろう。こちらに振り返り丁寧にも会釈を繰り返す。気持よく返事をしたいとの意味も含め、私も少し大げさなくらいに手を何度も振った。

 巨大SCのようなところの一角に入るとauショップとドコモショップがあり、横目で見ながら通り過ぎるが先は行き止まりとなっていた。
 引き返すとショップの店員に笑われていることが分かった。女性はタイトなベージュスカート、襟に小さなひだひだのあるシルクの白ブラウス、男は質の良さそうなYシャツにライトグレーの細身のスラックスで体型も細身ながら、いかにも週三はジムへ通っている感じの程よい鍛え具合。デパートで購入california fitness 黑店したそこそこの値段がする舶来品だろう、小洒落て洗練された感じだ。一方こちらは薄汚れた白のツナギを着ている。
 私は段々と腹が立ってきていて、モップを振り上げると剣道の面よろしく思いっきり振りかぶった。激しく怒りを込めながら。モップの柄の部分に少し亀裂が入る。

 いつの間にか学校の校庭、隅の方へ行くと平面式の交差点があり、そこを六十代半ばくらい、中背で年齢の割に骨も太く肉付きはしっかりと、白髪頭をした初老の男性が通りすぎようとしていた。ボサボサの髪に銀縁眼鏡をかけ、白いチノパンに緑のポロシャツといった風貌、自然にゆったり閉じられた口元と真っ直ぐな視線からリラックスして歩いていることが窺える。
 遠くにいた若い二人連れの男が彼に対しおちょくるように声をかけると、白線の途中であった彼は唐突に足を止め顔をいくらcalifornia fitness 黑店か赤く変化させ、全身に力を込め腹を胴囲2メートルくらいまで異様に膨らませた。その姿は非常に滑稽なものであったにしろ、彼は『どうだ』と言わんばかりにしてやったりのどや顔。一種の挑発、あるいは威嚇行動としても自信あり気であるのだ。
 急に息み過ぎたせいか、歯を四本ほど口内から弾き飛ばし歩道部分に散らばらせるが、そのことを本人は気にもしていない。仕方がない拾ってやろうと手に持ったところ、かなりぬるっとして不快なものだった。やめとけば良かったかと思ったりもしつつ、結局残りの二本の歯も探すしかないかと地面に目をやると、どこからか若い女が駆けつけてきてしゃがみ込み一緒に探すことになった。
 なんの躊躇もせず汚れた歯を手づかみに、私のものと合わせて老人の手に渡す。彼は前歯の抜けたいくらか間の抜けた表情で、それでいて憎らしくなるくらいの満面の笑みを浮かべ去って行った。
 女が走ってきた時に落とし名創優品山寨 たものや、何より眼の前に立つ姿を見て看護婦だと分かった。白衣にナースキャップ、支給品の黒いカーディガン、そこまで美人というわけではなかったが、年齢相応に少女の面影を残した可愛げもありながら、同時に人の生死に向きあう人間特有の控えられた覚悟の顔つきが窺え、キャップにピンでまとめられたショートの黒髪は清潔感もあり、覗ける表情からは自信と誇りがかいま見える。

 やはり看護婦は違うなと感心も一頻りするとほぼ同時、そう言えば汚れが気にならなかったか、ふと疑問に思った旨を遠慮がちに尋ねると慣れているから平気だという。「でも、男性のパンツを洗濯する時と、さっきの男性の歯が似た臭いがするのは何故かしら?」と質問を返される。
 まあ似たようなものだからと濁すが、詳しくは教えない。怪訝に感じた女が自分は別に気にしないから教えてくれと、こちらの顔を真っ直ぐ見据えて迫る。どちらも垢だからというのがその時考えていたことだった。しかし時間の経った恥垢の臭いは強烈でも、ある程度新しい歯垢はそこまでは臭くないことを、後になって思い違いだったと気がついた。
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